Last update: 2023/04/26

長崎大学 大学院 水産・環境科学総合研究科 海洋生産システム分野(水産学部 海洋生産システム学講座)

海洋物理学研究室 / Physical Oceanography Laboratory

Graduate School of Fisheries and Environmental Sciences (Faculty of Fisheries), Nagasaki University

メンバー / Members

過去在籍者 / Past members
准教授   滝川 哲太郎 / Tetsutaro TAKIKAWA (Associate Professor) / Sep. 2016 -
技能補佐員 浦田 志奈子 / Shinako URATA (Staff) / May. 2020 -
学部4年  内間 成美  / Narumi UCHIMA (B4) / B4: Apr. 2023 -
学部4年  山崎 優菜  / Yuna YAMAZAKI (B4) / B4: Apr. 2023 -
学部4年  渡邊 誠也  / Seiya WATANABE (B4) / B4: Apr. 2023 -

海の流れや水温の変化など,海洋の物理現象について研究を進めています. 化学や生物過程,または気象現象との関係など,他分野との連携研究も視野に入れています.

研究室配属を希望する皆さんへ

練習船などに乗船し,CTD観測・採水,係留機器の設置・回収など,海洋観測を行います. 海洋観測は,他大学や他研究機関と共同で行っています. データ解析には,コンピュータによるプログラミングが必要です. 各自の研究のほかに,海洋物理学の教科書を輪読して勉強します.

研究紹介 / Research topics

* 研究業績については,上記メンバーのリンクを参照ください.

1. 日本海南西海域における表層海流とプランクトン・卵仔稚魚の分布と輸送過程

共同研究:鹿児島大学,愛媛大学,山口県水産研究センター,情報通信研究機構,名古屋大学,琉球大学,九州大学,西海区水産研究所
JSPS科研費26450254

2014年5月〜2017年2月の間,対馬市舌崎と萩市相島に遠距離海洋レーダを設置し,対馬海峡から山陰沖合を流れる対馬暖流を観測しました(愛媛大学等との共同研究,JSPS科研費80301323).この間,練習船や研究船を用い,レーダ観測海域において,CTDによる海洋観測やプランクトン採集を行いました.ここでは,流動場とカタクチイワシの卵・仔魚の典型的な分布について紹介します.

2014年6月には,日本海の冷水が200 m以浅の大陸棚に進入していました(図1-1右).大陸棚縁(200 m等深線)を東北東方向に流れる対馬暖流が分岐して,この冷水と対馬暖流水の境界(フロント)に沿って,南東方向に流れる傾向でした(図1-1左).カタクチイワシの卵は沖合側の冷水域に,仔魚は沿岸側の暖水域に分布していました.卵・仔魚は,この分布を保ったまま,南東流(水温フロント)に沿って分布していまいした.

2014年8月には,カタクチイワシの仔魚が,沿岸の暖水域と沖合の水温フロント付近に分かれて分布していました(図1-2右). このとき,対馬暖流も,沿岸分枝流(第1分枝流)と沖合分枝流(第2分枝流)に分かれて流れていました(図1-2左).

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図1-1. 遠距離海洋レーダで観測された表層流を左図に,100 m深の水温(T)とカタクチイワシの卵(Egg)・仔魚(Larva)の分布を右図に示します. 実線は,100 mごとの等値線で水深を示します. 左図は,2014年6月15日から6月16日までの平均流速ベクトルです. 流速ベクトルのクオリティはチェックしておらず,暫定的な結果ですのでご注意ください. 海洋観測は,水産大学校練習船「天鷹丸」とJAMSTEC研究船「新青丸」により行われました.
lor20140819-24 anchovy_t225
図1-2. 図1-1と同様です. ただし,観測期間は,2014年8月19日から8月24日までです. 海洋観測は,水産大学校練習船「天鷹丸」により行われました.

(c) Physical Oceanography Laboratory, Graduate School of Fisheries and Environmental Sciences, Nagasaki University