研究紹介


海の生き物の中には飼育が難しい種類が多くいます。水界で生物はどのような生活をしているのか、海はどのようにして多くの生き物を育み、生き物はどのように海の環境に適応してきたのでしょうか。この研究室では、微小なプランクトンを材料として、次のような研究課題に取り組んでいます

1.魚介類幼生の飼育餌料に用いる生物の培養技法開発と安定的培養方法の検討

 ワムシ類、ミジンコ類、カイアシ類等の培養技術の開発、仔魚を含めた動物プランクトンの健康状態の診断技術開発、培養不調時の対策(光や餌料などのコントロールによる生活史特性の変化、量産が困難な種類の培養方法検討、酵素活性や行動とプランクトンの生理状態との関係、プランクトンの生理活性促進、低コストの培養技術など)

 

2.餌料生物の育種

 魚のベビーフードとして重要なワムシなどの動物プランクトンを用いて、有用な新品種の開発(ワムシの同定技術、野外採集による適株の選択、行動の制御、遺伝子解析による基礎情報の蒐集・交雑・突然変異の誘導など)

 

3.低温保存や耐久卵による保存技術の開発

 大量生産時の余剰のワムシを低温保存し、輸送や培養不調時に活用。種苗生産の閑期には耐久卵として保存し、翌シーズンのタネとしての活用(ワムシの低温耐性強化、生活環コントロールによる耐久卵形成の誘導、休眠・孵化のメカニズム解明など)

 

4.魚介類幼生の餌料系列の開発

 ワムシ類、ミジンコ類、カイアシ類等を餌料とした餌料系列の開発(仔魚の摂餌選択性、摂餌数、摂餌行動、消化酵素活性を指標とした餌料効果の検証)

 

5.環境毒性評価のための試験生物としての活用

 各種化学物質がワムシ類、ミジンコ類、カイアシ類等に与える影響と作用機構、その実験系の確立(化学物質曝露が生存、生殖、行動等に与える影響評価など)

   研究室パンフレット(日本語版)

   ケニア・ビクトリア湖の環境保全と水産研究

  メガネモチノウオの稚魚量産に成功

  研究に使っているミクロ海洋生物